「ありがとね。手料理、おいしかったよ」最期のとき、家族に何をのこせるんだろうー書籍『家族のレシピ』が発売　平安堂長野店にてパネル展も

ニュース番組「NBSみんなの信州」で特集し、YouTubeの再生回数が690万回を超える大反響を呼んだドキュメンタリーを書籍化。
余命わずかの母と家族の「看取り」を取材した内容が『家族のレシピ』として、幻冬舎より発売されました。
発売に合わせて、平安堂長野店でパネル展が開催されています。

お母さんがいなくなっても、日々の食卓は続いていく。

死ぬことは、最期を生きることーーー。
コロナ禍で病院の面会が制限される中、「自宅で最期」を迎えることを決めた母とその家族、看取りを支えた医師の物語。「余命わずか」と宣告された母が家族に遺した1冊のレシピノートに込めた思い。
「ありがとね。手料理、おいしかったよ。」お母さんがいなくなっても日々の食卓は続いていく。
（書籍『家族のレシピ』紹介文より）

2022年9月、胆のうガンのステージ4で闘病中だった塩尻市の三嶋伊鈴さん（57歳）は、余命わずかと宣告され、最期の時間を家族と過ごそうと、在宅診療を受けていました。伊鈴さんの担当医師は、松本市の訪問診療医・瀬角英樹さんです。看取りを支える訪問診療をテーマに瀬角医師の活動を取材していたNBSの中村明子記者のもとに、三嶋さんの取材承諾の連絡が入ったのが9月。瀬角医師に同行し、一家の取材が始まりました。

「NBSみんなの信州」の特集として、三嶋さん一家の「看取り」を伝えるドキュメンタリーを県内で放送したのは、2022年の12月。翌年の2023年2月にYouTubeで公開したところ、大きな反響を呼び、コメント欄には2,000を超えるコメントが書き込まれました。

特集は、伊鈴さんを看取り、新たな日常が始まった家族3人の食卓の様子から始まります。
調理師として働き、家族のために料理を作るのを楽しみにしていた伊鈴さん。そんな伊鈴さんが家族のために遺していたのが「レシピノート」です。そのレシピをもとに、料理を作る2人のきょうだい。
「手まりシュウマイ」「三食丼」食卓には慣れ親しんだ味が並びます。
お母さんがいなくなっても、日々の食卓は続いていく。家族3人で囲む食卓に伊鈴さんの姿はなくとも、そこに伊鈴さんの愛情が生きているのが伝わります。　

書籍『家族のレシピ』は、母が家族に遺したレシピノートを中心に、伊鈴さんがガンを発症してからの闘病生活、在宅診療の様子、最期のとき、その後の三嶋さん一家の様子が描かれています。

自分はどう生きる？大切な人に何を伝えられる？

NBSで取材を担当した中村明子記者です。

書籍発売にあたり、中村記者に今の思いを聞きました。

「まず、三嶋家の大切な時間、大切な場所に、取材という形で入らせて頂いたこと、感謝の思いでいっぱいです。ご家族が、なぜ取材を受けてくださったのか、番組制作中も、本が出版された今もずっと考え続けています。
三嶋家がお互いを思う気持ち、お母さまの優しさ。ご家族の会話は、何度見ても胸を打ち、涙があふれてしまいます。でも、それだけではありません。
自分はどう生きる？大切な人に何を伝えられる？
三嶋家のみなさんの姿は、そう優しく問いかけてくれるのです。
「家族のレシピ」を読んだ方が、自分の大切な人を思い浮かべ、何かを想う時間を持って頂ければ嬉しいです。」

その後中村記者は、三嶋さん一家を含む3組の患者とその家族、瀬角医師の活動を追った番組「最期を生きて―「看取り」支える訪問診療―」を制作し、番組はフジテレビ系列各局が参加する「FNSドキュメンタリー大賞」で大賞を受賞しました。

多くの人が経験するであろう、家族との別れ。そこに姿は無くとも、愛情や思いは、日々の生活の中で続いていくーーー『家族のレシピ』には、母の最期に懸命に向き合った家族の姿、そしてその後の生活の様子が描かれています。

パネル展は平安堂長野店にて開催中です。
今後松本市の「丸善 松本店」、佐久市の「蔦屋書店 佐久平店」でも開催予定とのことです。