2023年9月16日(土)より長野県上田市にある文化施設、サントミューゼにて開催中の美術展、「うるおう アジア ―近代アジアの芸術、その多様性―」展。
世界で唯一のアジアの近現代美術の専門館という、福岡アジア美術館の収蔵作品のなかから厳選された、15の国と地域の近現代美術を横断的に紹介する展覧会です。
アジアの近現代美術の知識がまったくない筆者ですが、実際に行ってみたところ、アジアのポップでキュートな魅力が満載な展示に「かわいい~!」を連発。その魅力を皆さまにもお届けします!おでかけの参考にしてみてくださいね。
まずは、腹ごしらえ。
腹が減ってはなんとやら。ということで、館内にあるカフェ「ロジェカフェ サントミューゼ店」に立ち寄ってみました。なんでも、「うるおうアジア」に合わせたコラボメニューを展開中なのだとか!
長野県各地で展開している「ロジェカフェ」のサントミューゼ店。長野市善光寺界隈で人気の雑貨屋「Roger(ロジェ)」も姉妹店なのだそう。
(記事はこちら!:善光寺界隈にある人気雑貨店「Roger(ロジェ)」~暮らしを楽しくする雑貨セレクトショップ~@長野市)
まろやかな味わいが人気の発芽珈琲やハーブティーをはじめ、ランチタイムは発芽玄米を使った身体にやさしいカレーやサンドイッチなどの軽食が人気な、上田の隠れたカフェスポットなのです。
そんなカフェで提供されているコラボメニューがこちら!
“アジアンスイーツ”といえばすぐに名前が挙がるであろう、杏仁豆腐とパイナップルケーキにインスパイアされた、同店オリジナルのメニュー。さっそくいただきます!
「杏仁豆腐アイスクリーム」(480円)は、口に入れた途端、杏仁豆腐特有の香りと甘さが広がって幸せな気持ちに…!上に乗った、シロップに漬けたクコの実と、砕いたナッツ類が良いアクセント。ボリュームがちゃんとあるのもうれしいところです。後味がさっぱりとさわやかなので、あっという間に食べられちゃいました。頭や心をたっぷりと使う芸術鑑賞の前後は、甘いものがうれしいですよね。これを食べて、脳を甘やかしちゃいましょう♪
「アジアンハーブティー (台湾パイナップルケーキ付き)」(500円)は、烏龍茶とプーアル茶の中国茶らしい風味をベースに感じて、そのあとにミント、レモンピールなどのすっきりとしたハーブの香りが鼻に抜けていきます。日本茶とも紅茶とも違う味わいが新鮮。ハーブのおかげか、気分をリフレッシュさせてくれます。看板メニューでもあるカレーを食べた後に飲むのもよさそうです!
パイナップルの甘酸っぱさをしっかりと感じられる台湾パイナップルケーキとの相性も◎
お腹が満たされ、すっかりアジアへ旅行している気分になったところで、展示室へと向かいます。
廊下~エントランス
展示室に向かって歩いていると、廊下からすでに始まっていました!
これらは展示開始に先がけて開催されたワークショップ「提灯絵付けワークショップ」にて、参加者の方が紙を貼ったり絵を描いたりして作った提灯たちで、信州大学の学生をはじめ、海外のアジア出身の方も参加してくださったそうです。よく見るといろんな絵や文字が。カラフルでかわいいですね♪
エントランスを入って奥へ奥へと進んだ、こちらで受付を済ませます。展示室は2階。
入り口はこんな感じ。ビビットな色使いの作品たちが出迎えてくれます。
ちなみに、この展示はすべて撮影OK。自分の好きだった作品を感想とともにSNSでシェアして盛り上がるなど、鑑賞後も楽しめちゃいますよ。
チラシを見た時点で気になっていたリキシャを観られてすでに感無量!リキシャは、日本の人力車がルーツの乗り物。360度どこから観ても、全く隙間なく装飾されていて圧巻です。バングラデシュのアーティストによる作品ですが、映画や物語のワンシーンなどだけでなく、社会的なテーマが描かれている箇所もあるのだとか。どんな絵柄は、ぜひ実物を観てみてくださいね。
これら15カ国から出品されています。“アジア”という漠然としたイメージが、具体的に感じられるようになってきますね。
第一章 洋風表現の登場
中国の山水画をはじめ、アジアには多くの伝統的な絵画技法がありますが、今回は近現代美術の展覧会。というわけで、最初のブロックは、産業革命後、近代化とともに西洋文化が入ってきたことによって生まれたアジアの絵画作品を見ることができます。
象牙に描かれた精密な風景画や、(写真だと分かりづらいですが、とても小さな作品です。めちゃくちゃ細かく描かれているので、ぜひ現地で目を凝らして観てみてくださいね。)
宗教画の技法を使った、ユーモアのある絵など。
これらは、現地の人たちだけでなくアジアに来た西洋人がお土産として買って帰るためにつくられたもの。
いわば、西洋人たちに「これがこの地域の文化ですよ~」とプレゼンするような作品たち。風景や人物は“理想のアジア”だったり、“わかりやすい異国”として描かれることもあったようです。
一見西洋絵画っぽく見えるのに、モチーフが東洋なのがまた面白い。高いクオリティで西洋絵画の真似ができた、アジアの絵師や職人たちの技術にも驚かされます。
第2章 民衆に愛されるアート
時代が進み、国内向けの絵画、とくに宣伝ポスターなど生活の中にあるアートのなかにも近代化・西洋化の影響がみられるようになってきたころの作品が集められた第2章。
中国で流通していたポスターたち。よく観るとタバコやお酒の広告だったり、カレンダーが付いていたりします。色使いもデザインもかわいくないですか?レトロだけど、不思議と古臭さは感じない。ほかにも当時のポスターが多数展示されているのでぜひ観てほしい!
こちらはインドでつくられていたポスター。めちゃくちゃ色がきれいなんです。当時としては高度な、色をたくさん使う印刷法で印刷されており、その色彩の繊細さ・美しさは現在でも評価が高いそう。これも実物を観てほしい!
レトロな絵柄や色使いが好きな人にはたまらないブロックです。
第3章 「近代美術」と呼ばれるもの
ここからは、誰かに向けて「売る」ためだけの作品ではなく、いわゆるアーティストが何かを表現するためにつくった作品が登場します。1章~3章にかけて順番に観ていくと、時代の変遷が感じられるのも面白いですね。
独特の色彩に惹き込まれる、インドのアーティストの作品や、
伝統絵画である山水画を写真技法を使ってあえて再現してみた作品など。
西洋人や大衆が求めるものをつくるという受け身の姿勢から、自らアジア文化を世界へ発信していこうという、攻めの姿勢に変わってきたことを感じます。
なかには近年制作された作品も。一見ただの映像のようにみえるかもしれませんが、実は…。
実際にこの場で体験してみてください。きっと驚きますよ。
また、インドネシアの伝統楽器「ガムラン」を使用した、聴覚でも味わえる作品も。30分ごとに演奏が聴けますので、時間を合わせて立ち会ってみてくださいね。いったいどんな音を奏でるのか。お楽しみに。
入ってすぐのところで上映されているこちらもおすすめ。ラオス初の長編アニメーション作品で、ラオスの代表的な民話がモチーフとなっています。色使いといい、ストーリーといい、アニメの常識を覆されること間違いなしです。もちろん良い意味で!
などなど、全部で74作品の展示が楽しめるこの展覧会。
アジアって広いな~日本と全然違うな~と思いつつ、でもなんだか親しみやすさも感じる、不思議な展覧会だったな、と個人的には思いました。
新鮮なんだけど、どこかなつかしい。
アジア人の血が、そう思わせるのかもしれませんね。
アジアのアートを観に来たはずが、自分の中のアジアの血に気付かされてしまいました(笑)。
もちろんどんな国籍の方でも楽しめる、魅力的な作品がそろっているので、
ぜひその目でご覧くださいね。
ミュージアムショップ
鑑賞後の楽しみは、やはりミュージアムショップでしょう!
ショップでは、福岡アジア美術館からやってきたキッチュでかわいい雑貨を販売中。
こちらも合わせてチェックしてみて。
一筆箋やマグネット、
ストラップなど。また、学芸員さんイチオシなのがこちら。
インドの宗教、ヒンドゥー教の神様相関図クリアファイル!
インドの作品には神様の名前がたくさん出てくるのでありがたい~!
インド美術だけでなく、インド映画を観るときなんかにも便利そうです。
展示は11月19日(日)まで。お見逃しなく!
〈text&photo:Komachi編集部加藤〉
第23回共同巡回展 福岡アジア美術館蔵作品展
うるおう アジア ―近代アジアの芸術、その多様性―
●期間
2023年9月16日(土)~11月19日(日)
●会場
サントミューゼ 上田市立美術館 2階企画展示室・ホワイエ
●時間
9時~17時(最終入場は16時30分まで)
●休館日
火曜日(祝日の場合はその翌日)
●観覧料
一般 700(600)円
高校・大学生 300 (200)円
中学生以下 無料
※コレクション展Ⅱ 新収蔵作品より 米津福祐 −讃・雷電−及び山本鼎コレクションもご覧いただけます。
※( )内は20名以上の団体
※障害者手帳携帯者は半額、その介助者1名は無料
〈助成/一般財団法人地域創造〉
●お問い合わせ
0268-27-2300(上田市立美術館)