
ハンガリー語で3つのリンゴという意味を持つ「ハーロム アルマ」。「人」「環境」「未来」を結ぶ事業を目指し、活動を行っているのが岡 賢昭さんです。
岡さんが行う取り組みのなかで今回注目したのが、モミガラを活用した新しい固形燃料「モミガライト」。地域資源を無駄なく生かし、新しい燃料に生まれかわらせるこの仕組みは、まさに“しあわせバイ信州”にぴったりな循環サイクルです。

薪ストーブから始まった、思いがけない出会い
東京出身の岡さんは、サラリーマン時代に松本へ転勤したことをきっかけにこの地の魅力にふれ、松本に住まいを構えることを決めました。そして、かねてからの夢だった“薪ストーブ”のある家を新築。休日には薪をくべながら、日々の疲れをゆっくり癒やしていたといいます。
そんな折、「このままサラリーマンを続けていていいのだろうか…」という思いが芽生え始めた頃、薪ストーブを設置してくれた会社の方との会話の中で、モミガライトの存在を知ったのだそうです。
「話を聞いてすごく感銘を受けたんです。そこから一気に気持ちが固まり、前職を退職して事業を立ち上げることを決めました」
そもそも「モミガライト」とはどのような燃料なのでしょうか。
「名前の通り、稲のもみ殻を燃料にしたものです。もみ殻をすりつぶし、熱を加え固め燃料にするんですよ」
使い方は薪と同じ、ストーブや焚き火などの火にくべて利用します。
加工に必要な機械は広島県の企業が製造しており、「その設備を導入して事業を立ち上げたのが2015年でした」

環境にやさしい循環を生む、もみ殻アップサイクル
多くの地域では、稲作の副産物である「もみ殻」の処理に頭を悩ませている農家さんが少なくありません。
収穫後に出る量が多く、堆肥にしても使い切れず、焼却にも手間がかかるため、長らく“扱いにくい存在”とされてきたのだそうです。
「扱いに困っているもみ殻を資源に変え、さらに燃やした灰は堆肥になって土にかえると聞いて、こんなにいいものがあるんだと感動したんです」
もみ殻を燃やすと二酸化炭素は排出されますが、もともと稲が成長する過程で大気中から吸収した二酸化炭素を含んでいるため、「燃焼によって排出される二酸化炭素は“元々あった分を戻しているだけ”で、地球全体の二酸化炭素の量は増やさないんです。そういう点で地球温暖化の抑制にも貢献できると知って、ますますモミガライトにひかれました」と岡さん。
もみ殻は、地域によっては産業廃棄物として扱われることもあり、処理に困る農家さんも少なくありません。
ガラスの主成分であるケイ酸(シリカ)を多く含むため、そのまま畑にまいても分解されにくく、土に馴染むまでには数年かかると言われています。
「農家さんはお金を払って処分しているものなので、私が引き取ると言うととても喜んでくださるんです」
米どころである長野県。全国的にみるとモミガライト製造機の普及率は高いそうですが、現状はまだ普及途上だと岡さん。「少しずつ増えてきていますが、まだまだ知名度が足りなくて…」
岡さんはモミガライトの販売だけでなく、「全国モミガライト普及協議会」の副会長も務めており、もっと多くの人にその存在を知ってもらいたいと話します。

モミガライトの力で農家の夜を支える
さらに岡さんが力を入れているのが、農家を悩ませる“凍霜害(とうそうがい)”への対策として、モミガライトを活用してもらう取り組みです。
凍霜害とは、気温が急激に下がることで霜が降り、農作物や果樹の細胞が壊れて枯れてしまう被害のこと。
「霜が降りそうな夜、農家さんは一晩中地面を温めて空気を循環させなければならないそうなんです。これまでは輸入の固形燃料を使って補っていたのですが、長時間燃えるものではなく、必要なときに商品が手に入らないこともあったそうで…。そんな相談をJAの方から受けて、開発したのが鉄製の燃焼器『霜よけ助さん格さん』です」
この燃焼器は、上部に火をつけるとゆっくり下へと燃え移るので、約4時間は燃え続けることができるそう。
外側の鉄製の燃焼器(助さん)は折り畳み式で収納しやすく、内側にモミガライト(格さん)を入れて使うことで、安定した熱を生み出せるという優れものです。

薪に比べて密度が高く、長時間安定して燃えるのが大きな特徴のモミガライト。価格も1kgあたり約66円(1本)とお手頃です(B品1袋(18本入)購入時の場合)。
「1本で約2時間。炎が消えた後も熾火の状態が長く続くんです。安定して燃えるので火の粉も飛びにくい。そして、女性のお客さまに特に喜ばれているのが“虫が付きにくい”という点ですね」
…と、メリットばかりに見えますが、もちろんデメリットもあります。
「ひとつは灰が多いこと。灰は肥料になるので農家さんなら問題ありませんが、一般のご家庭だと処理に困る方も多いようです。もうひとつは、着火に少し工夫が必要なこと。安全性が高いぶん、火がつきにくいという面はありますね。ただ、それは薪も同じですよね」
「薪には薪の良さがありますから。私は“薪とモミガライトの併用”をおすすめしています」と岡さん。
モミガライトは、5年以上品質を保てるため長期保存にも適しており、災害時の備蓄燃料としても心強い存在です。そのまま保管できる缶入りキットも用意されているので、興味のある方はぜひサイトをチェックしてみてください。
不要になったもみ殻を資源へとアップサイクルすることで、森林保護にもつながり、環境にもやさしい。これこそ、これからの長野県に必要とされる循環のかたちです。
■購入場所
ハーロムアルマ オンラインショップ
■ハーロムアルマ
https://www.harom-alma.com/