
長野県民にはおなじみ、信州が生んだご当地ラーメンチェーン店「みんなのテンホウ」。ラーメン、餃子、定食など多彩なメニューがそろい、世代問わず訪れることができる――、まさに“みんなの”テンホウです。幅広い年齢層の人々に長く愛される理由を探りに、本社工場・工場長の五味さんにお話しを伺いました。

旅館から餃子屋へ。テンホウ誕生のストーリー
テンホウの歴史は、1939年に上諏訪で開かれた温泉旅館「天宝 鶴の湯」から始まります。戦後、創業者である百代おばあちゃんが旅館業から「餃子屋」に思い切って業態転換を決意。50歳を迎える年齢ながらも、東京にあった中華料理店で修行をし(しかも無給!)、1956年にテンホウの前身である「餃子菜館」をオープンしました。
その後、1973年に息子の大石孝三郎さんが事業を継ぎ、屋号を「テンホウ・フーズ」に変更。“天から授かった宝物”という意味を込めて、チェーン展開に向けた工場づくりや機械化を進めていきました。
2017年には現在の本社工場が完成し、同時に工場見学の受け入れもスタートしました。今では、地元・諏訪地域の小学校をはじめ、県外から訪れる企業も増えているそうです。
見学のあとは、出来立ての餃子をふるまってくれるのもうれしいポイント。テンホウの味がどのように生まれているのかを間近で体験できる場として、子どもたちにも大好評だそう。

唯一無二、秘伝のスパイスが香るテンホウのぎょうざ
3世代にわたって愛されてきたテンホウ。
メニューの豊富さも人気の理由のひとつですが、なかでも根強いファンが多いのが「餃子」です。
この餃子の皮には、かんてんぱぱで知られる伊那食品工業に特別に作ってもらった寒天の粉末を練り込んでいます。具材の水分をしっかり閉じ込めてくれるため、焼き上がりはモチモチ食感に。
中に入る具材は、挽き肉とキャベツ、ネギ、ニンニクというシンプルな組み合わせ。キャベツやネギは、地元の契約農家から仕入れたものを中心に使っているそうです。
「野菜の鮮度にこだわっているので、できるだけ地元のものを使いたいと思っています」と五味さん。
そして、テンホウのぎょうざといえば欠かせないのが、8種類のスパイスが織りなす“唯一無二の味”。シナモン、八角、フェンネルまでは公表されていますが、残りの5種類は企業ヒミツ。レシピを知っているのは工場長と専務の2人だけなのだとか。このスパイスの奥深い香りに魅了されるファンも多いです。

新たな信州土産として根付いた「野沢菜漬けぎょうざ」
定番のぎょうざに加えて、お土産として人気を集めているのが「野沢菜漬けぎょうざ」です。こちらは、諏訪市の老舗漬物店「松尾商店」とコラボして生まれた商品で、テンホウのぎょうざ用に特別に漬けてもらった野沢菜漬けがたっぷり入っています。
「そのまま使うとしょっぱくて、ちょうどいい塩分に調整するのが難しかったですね。開発には苦労しました」と五味さん。
「野沢菜漬けぎょうざ」は、テレビ番組でも紹介され、出演者からも太鼓判をもらった一品。もっちりした皮と、ザクザクとした野沢菜餡の食感のバランスがよく、今では「テンホウぎょうざ」と並ぶ信州土産の定番になりつつあるほどの人気です。

テンホウの店舗数は現在34店舗。2025年には、6年ぶりとなる新店舗が松本市村井にオープンしました。
また今年は4月に原村、6月には諏訪湖畔にも新店舗をオープン予定で、県内での展開が着実に広がっています。
また、「テンホウぎょうざ」が誕生して今年で70周年。世代をこえて多くの人が訪れ、いまや長野県の“ご当地の味”として観光客にも親しまれる存在になりました。
となると、「そろそろ県外進出も…?」と思ってしまいますが…。
「それは考えていません。鮮度を大事にしているので、工場でも各店舗で消費する分しか作りませんし、安全で安心なものを届けたいので、鮮度が保てる配達区域内だけで提供していきたいので」
まさに“バイ信州”を体現する企業。
いつも身近にあって、気づけばまた行きたくなる――それこそ“みんなのテンホウ”です。
■購入場所
メニューは県内34店舗、商品は諏訪湖SAなど
■株式会社テンホウ・フーズ
https://tenhoo.jp/