【しあわせバイ信州Must buy items #29】 安養寺味噌を使った佐久市のご当地ラーメンで地域を活性化!信州佐久安養寺ら~めん会@長野県佐久市

みんな大好きラーメン。長野県内にはたくさんのラーメン店があり、一世帯あたりのラーメン外食支出額が全国上位をしめるラーメンLOVE県です。そんな県民に広く愛されているラーメンですが「長野県のご当地ラーメンとは?」と聞かれると、回答に困ってしまっていたのが実情です。

そこで立ち上がったのが長野県佐久市。信州味噌発祥ともいわれる “安養寺味噌”を使った安養寺ら~めんを、ご当地ラーメンとして広めていこうと信州佐久安養寺ら~めん会を発足。10年近くたった今では、長野県を代表するご当地ラーメンとして、多くの人に親しまれるラーメンになりました。そこで今回は、安養寺味噌ら~めんを広めた立役者、信州佐久安養寺ら~めん会事務局長の金子さんに開発ストーリーや取り組みなどをお聞きしました。

信州みそ発祥といわれる安養寺味噌を新たなご当地メニューに

信州みその原点といわれる安養寺味噌。鎌倉時代に覚心上人という僧侶が中国で学んだみその製法を、佐久市にある安養寺に伝えたのが信州みそのはじまりといわれています。

佐久市産の大豆と地元の仕込み水を使い熟成させた安養寺味噌を、当時の技法で復刻させたのが江戸時代創業の老舗味噌蔵「和泉屋商店」です。

時を同じくして、佐久市でラーメン店を営んでいた金子さん。ラーメン業界を、また地域を盛り上げるためになにかできないかと考え、まわりのラーメン店に声をかけ、ラーメンを食べ歩くスタンプラリーを開催します。

「知り合いのラーメン店主さんから、またその知り合いにも声をかけてもらいました。若手ばかりじゃダメなので、ベテランの『げんこつ屋』さんにも参加してもらい、6店舗のお店をまわってもらうスタンプラリーをはじめたんです」

スタンプラリーは成功し、「盛り上がったね、やってよかったね、なんて言ってたら、『安養寺味噌を使ったご当地ラーメンをつくってくれないか』と、佐久商工会議所の担当者さんが訪ねてきたんです」

安養寺味噌を復刻し、それを使った新たなご当地メニューを開発したいと考えていた佐久商工会議所との出会いから生まれたのが安養寺味噌ら~めんでした。

地元のラーメン店主が集結し安養寺味噌を使ったラーメンを開発

当初の依頼はイベントで提供する安養寺味噌ら~めんの開発でした。

個人店として営業しているラーメン店が集まっているので、ラーメンの個性もそれぞれ。当初はなかなか意見がまとまらなかったそう。

「プライドを持って営業している店主が集まっているので、最初は全然意見がまとまらなかったんです。それで一回ゼロに戻して。スープ、麺などひとつずつ組み立てることにしたらスムーズにいきました」

そうしてできあがった安養寺味噌ら~めんをイベントで提供したところ「朝からすごい行列で。900杯用意していたのがすぐ完売しちゃったんです。イベントは翌日もあったのでみんなで徹夜して仕込みました」

地域の人々と一緒につくりあげたご当地の味。今では各ラーメン店がそれぞれの味をつくりあげ、それぞれの安養寺ら~めんを提供しています。

「安養寺ら~めんには、味噌ダレに安養寺味噌を80%以上使うという条件があるんですが、それ以外は自由。お店ごとに味わいが違うので、ぜひ食べ比べてほしいですね」

金子さんのラーメン店、麺匠 佐蔵で提供する安養寺ら~めん

スタンプラリーなど地域を盛り上げるイベントを定期開催

金子さんが発案したラーメン店のスタンプラリー。2008年の開始から10年近くたった今でも続いており、佐久市民にとって恒例のイベントとして定着しました。

2020年にはコロナの影響で外食産業がのきなみ打撃を受けるなか「佐久市はラーメンのまちでもあり、日本酒のまちでもある。酒造所と一緒になにかできないかと考え、コラボラーメンをつくろうと声をあげたんです」

「外に飲みに行くことはできないけれど、食べて消費してもらうならいいんじゃないかと。そう思いついて1カ月で準備してすぐスタートしました」

老舗酒蔵がつくる日本酒や酒粕を使い、各ラーメン店がそれぞれのラーメンを開発。名だたるラーメン店と老舗酒蔵のコラボラーメンは大変好評で毎年恒例のイベントとなっていきました。

「佐久市は三大ケーキのまちといわれスイーツのまちでもあるので、日本酒や酒粕などを使ったスイーツを作ってもらい参加してもらいました」。2024年度はスイーツ店の参加を増やし、ラーメン15店、スイーツ5店でのスタンプラリーを開催。

2025年度は居酒屋などといった飲食店の参加を増やし、規模を大きくして開催予定です。

過去には、小学生と一緒にラーメンづくりを行ったり、高校生と一緒に新たなラーメンを開発するイベントを行ったりなど、食育や地域に根差した活動も行ってきました。

「高校生とラーメンをつくる『ラーメン甲子園』というイベントは過去3年間開催してきたんですが、すごく好評なイベントで、今でも『またやらないの?』という意見を多くいただくんですよ。経験した生徒さんが「ラーメン屋さんになりたい!」と言ってくれたりすると、あぁやってよかったなと思いますね」

台風災害やコロナなどを経験し、「地域の繋がりってものすごく大事なんだなと改めて思いました」と金子さん。

「だからこそ地元の人に食べてほしい。今ある安養寺ら~めんは、地元の人と重ねてきた集大成なんです。みんなでつくりあげたご当地の味なので、これからも大切に守っていきたいし、できるだけ多くの子どもたちに食べてほしいですね」

安養寺ら~めんを食べて育った子どもたちが成長し、安養寺ら~めんを次世代へと伝えていく。その積み重ねでソウルフードとなっていく。安養寺ら~めんがふとしたときに思い出すふるさとの味になる日も近いかもしれません。

■信州佐久安養寺ら~めん会事務局
https://anyouji-ramen.com/

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