【しあわせバイ信州 Must buy items #19】 信州生まれのリンゴをアップサイクルし「りんごレザー」に生まれ変わらせる株式会社SORENA@長野県長野市

長野県の名産品としても名高いリンゴ。ジュースやシードルづくりの工程ででる残渣。廃棄されるはずの搾りカスをアップサイクルし「りんごレザー」へと生まれ変わらせているのが株式会社SORENAの伊藤優里さんです。丈夫で汚れに強い 「りんごレザー」を使ったバッグや小物製品は、環境に優しいだけでなく軽く柔らかい使い心地なうえ、見た目もオシャレなので大切な人への贈り物にもぴったり。今回のMust buyitemは「りんごレザー」に注目してみました。

リンゴ残渣をアップサイクルしヴィーガンレザーへ

リンゴの搾りカスをアップサイクルし、ヴィーガンレザーとして生まれ変わらせた「りんごレザー®」。

当時、食品の加工所に勤めていた伊藤さんが、毎日大量に廃棄される食物に違和感を覚えたのが開発のきっかけでした。

「食品加工会社に勤めていたんですが、原料となる果物はほぼ輸入に頼っていたんです。長野県にはおいしい果物がたくさんあるのに、どうして輸入しているんだろうとすごくモヤモヤしていました」と伊藤さん。そして商品にできないものを大量に廃棄する現状を目の当たりにし、「何か私にもできることはないかという思いで」食品会社を退職し、株式会社SORENAを立ち上げました。

果物の残渣を使いヴィーガンレザーを作ることができることを知ったのは、サステナブル素材を扱う展示会でした。ちょうどそのころ、長野市に台風19号が直撃。多くのリンゴが台風の被害にあい、農家さんが悲しんでいた光景も伊藤さんの心に深く残っていたそうです。

「果物でヴィーガンレザーが作れるのを知って、ああこれだと。頭のなかはもうリンゴしかなかったです」。

普段使いにも最適なバッグや小物などを販売

飯綱町の廃校でシードルづくりを行う「林檎学校醸造所」からリンゴの搾りカスを提供してもらい「りんごレザー」の開発がスタート。乾燥させた搾りカスを樹脂にまぜて生まれる「りんごレザー」。石油由来の原料「ポリウレタン」の使用量は通常の合成皮革に比べると2/3ほどに抑えられているので、より環境に配慮した製品となっています。見た目や質感は本革とかわらぬ高級感なうえ、耐久性にも優れているので、普段使いにも最適です。

リンゴから出る搾りカスが株式会社SORENAで「りんごレザー」となり、そしてバッグ、財布やキーケースなどの小物類などさまざまな製品に生まれ変わります。自社製品は「RERIGO(レリゴー)」というブランド名でECサイトなどでも販売されています。

県内企業や職人とコラボした商品が続々誕生!

いろいろな企業へ素材として提供されている「りんごレザー®」。

県内ではシューマートでバレエシューズとして販売されているほか、皇室御用達のハンドバッグブランド「濱野皮革工藝」も“次世代へ繋ぐサステナブル素材”として「りんごレザー」を支持。「りんごレザー」を使ったバッグやポーチなどを販売しています。

ほかにも「長野県の職人さんや企業さんともコラボさせていただいています」と伊藤さん。

ほかにも、リンゴの搾りカスを使ったさまざまな商品が生まれています。そのうちのひとつが、飯山など北信濃エリアで約300年以上前から作られていたといわれる「内山紙」。リンゴの残渣を混ぜ、流しすき技法で作られた「リンゴ和紙」は、独特の質感と風合いが特徴です。

2人の子どもを育てる母親としての一面もある伊藤さん。「これからますます混沌とした時代になっていくので、子どもたちにできるだけ住みよい未来をつくってあげたい」と話します。自分にできるサステナブルな取り組みのひとつとして生まれた「りんごレザー」。

「環境問題も大事ですが、私のやりたいことはそういうことだけじゃないんです。地域で経済をまわすことが、結果、環境にやさしい社会になっていく。水や気候に恵まれた地域でとれたものを地域で食べ循環していけば、輸入にも頼らなくていいし、結果環境にやさしい社会になっていくと信じています」。

“しあわせバイ信州”は、現在の地域経済の循環のみならず、子どもたちの将来を担う大切な取り組みです。長野県の未来のために、一人ひとり意識しながら“しあわせをバイ”を継続していきたいですね。

■株式会社SORENA
https://sorena39.com/

■RERIGO(レリゴー)
https://rerigo.jp/

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