【しあわせバイ信州Must-buy items #13】 地元を愛し愛される、昔ながらの製法で作る信州味噌と醤油。時代に合った調味料も開発 株式会社丸正醸造@長野県松本市

今回は、長野県松本市にある老舗醸造所、丸正醸造の『Must-buy items』をピックアップ。
明治28年創業、郷土の食文化を守り、育んできた歴史ある味噌・醤油醸造所が作る味噌や醤油は、一般のお客さんのみならず、松本市内にある有名ラーメン店をはじめ、多くの料理人たちから熱い支持を集めています。

明治28年創業の老舗味噌蔵

松本市出川にて店舗と醸造所を構える丸正醸造。2025年で創業130年を迎える老舗味噌蔵の4代目社長、林信利さんにお話しを伺いました。

「出川という地名だけあって、このあたりは2つの川の合流地点で水源が豊富だったんです。それで街道が栄え、酒造や醸造所が多くできたといわれています」。

創業当時は味噌ではなく醤油を製造していた同社。

「昔は、味噌は家庭で作るものだったので。大きいメーカーさんが台頭するようになったのは昭和あたりからなんですよ」。

昔は最低でも1年以上は寝かせ熟成した味噌が主流でした。「戦後の復興期、関東に出荷するためにはできるだけ早く発酵させないと供給が間に合わず「それで早く製造する技術が生まれ、それを関東の人が“おいしい”と喜んで食べた。そうして信州味噌が発展していったというのが背景のようです」。

生産量は全国一。昔から味噌文化が根付いていた長野県で、昔から変わることなく、丸正醸造の創業者の味、製法を今も守り伝えています。

県内産の大豆を使い二年熟成させた「二年味噌」

丸正醸造の看板味噌といえば「二年味噌」。昔ながらの製法で、じっくり2年間発酵させた熟成味噌です。

「素材は長野県産の大豆を主に使っています。地元の大豆農家さんから、自分たちの畑でとれた大豆を使った味噌を作ってくれとお願いされたのがはじまりです」。

それまでは特に大豆の産地まではこだわっていなかったそうですが「生産者さんと会話しながら信州産の大豆を使い味噌を作ってみたら、それが他の農家さんに伝わり『うちのも使ってくれ』と、どんどん広がっていったんです。それで、じゃあもう全部長野県産の大豆にしてしまおうとなったのが2009年です」。現在は、長野県内の契約農家から仕入れる信州産の大豆を使い味噌作りを行っています。

「実は素材も大切ですが、一番大切にしていることは、地元の人に喜んでもらいたいということ。先代が常々いっていたのは『わざわざ直売店に買いに来てくれる地元の人にはサービスをしろ』ということ。日常で使うものなので、購入しやすい価格でご愛用いただき続けることが大切。こだわりの原料で作り、かつ、お求めやすいという、ギリギリのラインで作っています」。

漬物にもかけたくなる信州の醤油

創業当初、丸正醸造を支えていたこわりの信州醤油。

「醤油づくりが栄えているエリアって、だいたい海沿いなんですよ。高温多湿といわれる気候で、温度が高くて湿度も高いんです」。海沿いの地域で作る醤油は色が濃い目でピリッと辛め、濃厚な味が多いそう。

「海の魚の生臭さを消すには濃口醤油がいいので、海の近くではそういう傾向の醤油ができるんですよ」。

その点長野県は湿度が低いので、淡い色で、甘味が残るまろやかな風味が特徴です。

「長野県の食文化は、野菜や根菜類など植物系が中心。そこに海沿いの濃口醤油を合わせても、素材の味を消してしまい、醤油の味しかしないものになってしまうんですよね」。

食文化や気候にあった醤油の味。「おばあちゃんちに行くと、野沢菜漬けに醤油をかけたりもしますよね。長野県の醤油はしょっぱくないんです。当社の醤油も素材の味が生きるようまろやかな口当たりに仕上げています」。

醤油の看板商品。

「万能な『かけ醤油』と言いたいところですが、実は『あづみ野讃歌』がすごく人気があるんですよ。お浸しをはじめ、いろいろなものに合う小麦の甘味を生かしたダシ醤油です」。

安曇野にあった“一見には売らない”というこだわりの醤油屋から引き継いだ秘伝の味を継承。

林さんの話を聞いたら「これは食べたい!」と、取材チーム、全員帰りにお買い上げしたことは言うまでもありません。

醤油屋からスタートし、時代とともに味噌作りをはじめ、今では多くの調味料やドレッシングなども手掛けています。

「今から15年くらい前までは、味噌と醤油だけを作っていたんですが、あるとき家の食卓にある焼肉のタレやポン酢などの調味料がすべて既製品だったのに気づき、それを機に、自社で作ろうと開発をはじめました」。

飲食店や農産物直売所からも「オリジナル品を作ってほしい」というオファーが絶えず、今では加工品も主力商品に。

そばメーカーから依頼されて作りはじめた「麺つゆ」は、メーカーのみならず、プロの料理人も愛用するほどのクオリティなのだそう。

「10人中10人がおいしいと思うものじゃなく、突出した個性がある商品づくりをしろというのが先代の教えでした。親父の好みを知っているのは妻であるおふくろなので、今でも新商品の味のチェックをおふくろにしてもらっています」。

林さんが守り伝えていく創業者の味。味噌や醤油は当たり前ですが調味料に関しても「丸正醸造の味」というスタンスを守り、開発に生かしています。

味噌や醤油は、家庭で毎日使うものだからこそ、安心できる素材、製法で作ったものを選びたい。子どもたち、そして孫たちに安心して食べさせたいと思える商品だからこそ、世代を超え長く愛されるのだと実感しました。

■購入場所
丸正醸造店舗、一部スーパー、道の駅、土産店など

■株式会社丸正醸造
https://mi-so.com/

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