“ディープな商店街”に若い世代が次々と出店 レトロな雰囲気や人情味にひかれ 築90年「9軒長屋」をリノベーション

特集は注目の商店街です。長野市の中心市街地にある「西鶴賀商店街」。店の数は減少の一途でしたが、レトロな雰囲気や人情味が残る商店街にひかれ、今、若い世代が次々と新しい店を出しています。

■繁華街近くの商店街

繁華街・権堂の東にある西鶴賀商店街。
現在、50ほどの店が営んでいます。

■「街に一目ぼれ」して飲食店開業

こよいのお酒「あお葉」

夜、一軒の店からあたたかな灯りが漏れていました。

青山さん:
「おばんざいセットです」

10月にオープンした「こよいのお酒『あお葉』」。
店主は長野県信濃町出身の青山栄里さんです。

こよいのお酒「あお葉」・青山栄里さん:
「1人でも気軽に来てもらえることと、15時からやっているので昼飲みを楽しめるのが特徴」

おばんざい盛セット(1人前800円)

日替わりのおばんざい盛セットなど、酒に合った料理を提供しています。

近くの住民(30代):
「日本酒にあうメニューばっかりなので、お酒すすみそうです」

近くの住民(40代):
「お酒飲みながら、つまみながら、ゆっくり時間を過ごせるのはいい」

こよいのお酒「あお葉」・青山栄里さん

4年ほど前から飲食業界で働き始めた青山さん。コロナ禍が明け、宴会需要が増える中、一人でも立ち寄れ、くつろげる店があったらと独立を考え始めました。

出店場所を西鶴賀にしたのはー。

こよいのお酒「あお葉」・青山栄里さん:
「この街の雰囲気に一目ぼれしたのが、ここで始めるきっかけに」

■昭和の風情残る商店街

西鶴賀商店街

東西およそ2.5キロに渡ってのびる商店街。
権堂に近いこともあり飲食店が多く、全盛期の長野オリンピックの頃、店は100を数えましたが、景気低迷などのあおりで今は半分ほどに。
大通りからやや離れていることもあり再開発も進みませんでした。

しかし、それが幸いして通りには今も昭和の風情が残っています。

■築90年「9軒長屋」を改装

「9軒長屋」

それに目をつけた人たちがいました。

まちづくり長野・越原照夫 取締役:
「歩いていると、昭和の匂いがする街が市内で残っているところがここしかなかったので、リノベーションを目指してやってみないかと」

市街地の活性化事業などに取り組む企業「まちづくり長野」は建築士会と手を組み、空き家・空き店舗をリノベーションして活用する取り組みを始めました。

まず着手したのが、築90年の建物が並ぶ通称「9軒長屋」のリノベーション。

こよいのお酒「あお葉」

街の魅力を広くアピールしようと住民を巻き込みながら、ワークショップやイベントも開催しました。
冒頭で紹介した「あお葉」も「9軒長屋」のうちの1軒です。

通りに面した壁はガラス張りにして気軽に立ち寄れる雰囲気に。改装にはワークショップとして住民やボランティアも参加してもらいました。

開店祝いの樽酒

青山さん:
「わーすごい!」

知人の男性:
「お祝い、樽酒なんだけど」

この日、初めて来店した知人の男性は。
知人の男性:
「雰囲気良いですよね。古いところと新しいところが混ざっている、そこの柱とかもそのまま使っていて」

■人の温かさも魅力

西鶴賀商店街

青山さんが西鶴賀への出店を決めたのは、レトロな雰囲気だけではありません。

こよいのお酒「あお葉」・青山栄里さん:
「『これからこの街でお店やっていきたいんです』という話をしたら、『よくこの街に来てくれたね』と言われたことが、とてもうれしくて。人の温かさに触れられるいい街、素敵な街。地元の方と新しく街に来た方が、このお店でつながりができればいいな」

■「ディープな街」大学生の古着屋も

古着屋 嬰・中川亮さん

青山さんのように街の魅力にひかれ、「9軒長屋」で店を始めた学生がいます。

古着屋 嬰・中川亮さん:
「最初に見たときはすごいディープな街だなと思ったのが第一印象。昭和の香りが残る街、昭和には生きていないが若い人が思い描く昭和が残っている稀有な街」

「古着屋 嬰」を大学の友人と営む中川亮さん(22)。長野県立大学の4年生です。

古着屋 嬰

大学の先輩が営んでいた古着屋が閉店することになり、それを引き継ぐ形で2024年4月、店を開きました。

中川さん:
「音響メーカーヤマハの90年代くらいのシャツになっていて」

古着屋 嬰

扱う古着はおよそ200着。海外から古着を仕入れる卸業者から買い付けています。

商店街では異色の存在ですが。

古着屋 嬰・中川亮さん:
「20代前半の若者がお店を開くことにも、『おお、いいじゃん』と街の方が言ってくれたり、『また見に行くね』と実際に来てもらったり、若者が大好きで、新しいものがどんどん入ってこいというようなスタンスでいてくれる、街全体がそういう雰囲気」

■本格的なインドカレー店も

「spice bar gambheer(スパイス バル ガンビール)」

10月、「9軒長屋」から少し離れた場所にも新しい店がオープンしました。
インド料理の店「spice bar gambheer(スパイス バル ガンビール)」。

昼はカレー、夜は本格的なスパイス料理を提供しています。

spice bar gambheer・越智健三さん

オーナーは越智健三さん(37)。地域おこし協力隊員として長野市に移住。長野に残って本格的なインド料理店を開きたいと、物件探しをしている中、西鶴賀を紹介されました。

spice bar gambheer・越智健三さん:
「西鶴賀に至ったのは本当に偶然。意外と雰囲気良いし、ここいいなと、その場で即決。昔ながらの商店街という雰囲気があり、昼は人は少ないが全くいないわけではない、可能性がありそう」

カレー3種(チーズナン変更 ※カレーの種類は日替わり)1500円

東京のインド料理店で副料理長を務めたこともある越智さん。およそ20種類のスパイスを駆使してつくるカレーが好評です。
ランチで人気なのは3種のカレーにライス、副菜、そしてダンドール窯で焼き上げたナンのセット。

近くの住民(30代):
「全部、スパイスが効いていて、ご飯に、ナンにもあっておいしかった」

近くの住民(30代):
「子どもと一緒に来られそうで、いろいろと子どもと来られる店があるといい」

ランチは女性客を中心ににぎわい、地域住民も足を運んでくれているそうです。

spice bar gambheer・越智健三さん:
「下町みたいな雰囲気を残しつつ、すぐ近くに大きなマンションがあり、いろいろな世代の方がいるところで、人情がある面白い場所」

■45年前からの店も「頑張ろう」

「spice bar gambheer(スパイス バル ガンビール)」

商店街の会長で45年に渡って食堂を営む広瀬正夫さん(68)。新たな店のオープンを歓迎しています。

食堂「苗場」・広瀬正夫さん:
「若い人が来れば、自分たちも頑張ろうという気持ちに。新しいお店が来て普通の商店街に、にぎわってもらえれば」

古い建物のリノベーションが少しずつ進む「西鶴賀」。昭和の香りを残しつつ新しい風が吹いています。

~ARURA編集部からひとこと~
この街の雰囲気の中で、おいしいごはんやお酒、買い物を楽しむのが最高ですね。各店の情報はこちら!

■こよいのお酒 あお葉
住所:長野市鶴賀西鶴賀町1551-1 C7
電話:026-217-8312
営業時間:15時〜22時(21時LO)
定休日:日曜・不定休 ※詳細はInstagramを確認
席数:20席(カウンター10席、テーブル5人×2席)
Instagram:https://www.instagram.com/aoba_541/

■古着屋 嬰(えい) 
住所:長野市鶴賀西鶴賀町1551-1
営業時間:(月・水曜) 12時〜18時、(土・日曜) 12時〜19時 ※詳細はInstagramを確認
Instagram:https://www.instagram.com/ei_usedclothing/

■spice bar gambheer(スパイス バル ガンビール)
住所:長野市鶴賀西鶴賀町1496-8
電話:026-217-9990
営業時間・定休日:Instagramを確認
Instagram:https://www.instagram.com/spice_bar_gambheer/

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