【しあわせバイ信州Must buy items #31】 信州で育まれた木を生まれ変わらせ次世代へつなげていく—フォレストライフ協同組合@長野県上田市、東御市

上田市や東御市の建具業者が集まり2015年に設立した「フォレストライフ協同組合」。長野県産の木材を使用し、家具や小物を製作・販売することで、地元の木の魅力をより多くの人に知ってもらえるよう努めています。

取り組みの中でも、特に注目されているのが木工クラフトキット「もっくら」。信州産の認証カラマツ材を用いた組み立て式の工作キットです。今回はこの「もっくら」を中心に、活動の背景や想いについて、フォレストライフ協同組合の事務局長・福田博史さんにお話を伺いました。

県産材を使って、暮らしに木を届けたい

組合が誕生したのは2002年。当時の長野県では、田中康夫知事のもとで県産材をもっと活用しようという流れがあり、学校の机や公共施設で木材を使おうという取り組みが進められていました。そうした中、小さな建具業者が力を合わせて大きな注文にも対応できるようにと立ち上げたのが「フォレストライフ協同組合」でした。

県産木材を使い、長野県庁知事室をはじめ、自治体の本棚や机、小学校で使う木製の学習机などを製作する中で、「もっと普通の人の手元に渡るものを何か考えなきゃいけない」とずっと考えていたという福田さん。そんな中で思いついたのが、木工クラフトキット「もっくら」です。

想像力を育む木のクラフト「もっくら」

「もっくら」の開発のきっかけは、小学生の息子さんの夏休みの宿題でした。

仕事場にあった木っ端を使って工作をした作品を持って行ったところ、学校で行われたコンテストで賞を受賞。すると、まわりの子どもたちから「自分も作ってみたい!」という声が次々と上がり、その反応が大きな後押しとなって、キットを商品化することになったと言います。

素材は長野県産のカラマツ材を使用。カラマツは扱いが難しい木材ですが、悪いところを省いた小さな部品にすることで有効活用できるようになりました。

大小50個ほどのパーツが入った木製キットで、価格は3,960円。オンラインストアのほか「道の駅 あおき」でも購入可能。また県内のイベントにも出店し、ワークショップも開催しています。

「設計図があるとプラモデルになってしまう。もっと想像力を働かせて自由な発想で楽しんでもらいたいので、あえて設計図は用意していないんですよ」と福田さん。色を付けたり、顔を描いたり、ネジを外せば再びパーツごとに分解できるため、何度でも作り直して楽しめるのも大きな魅力です。

信州発!木工小物の魅力と可能性

開発当初はお子さま向けとして考案された「もっくら」ですが、指先を使って思考力を引き出す特性から、高齢者の方の脳のトレーニングツールとしても活用されています。

「もっくら」以外にも、スマホスタンドやペーパースタンドなど、さまざまな木工小物を開発している福田さん。

「もっと幅広い世代の方に県産木材の魅力を届けたいと思い、木工小物を作っています」

プラスチック製品が当たり前になっている現代。木の小物には温もりや香りといった自然の魅力があり、手に取るだけでほっと心が和みます。そんな素朴なぬくもりが、日常にちょっとした豊かさを届けてくれるのかもしれません。

今後は、県内の大学生との共同開発も計画されているそうなので、新たなアイデアから生まれる商品にも期待が高まります。

今後も長野県産の木材を普及していくために尽力していきたいと福田さん。

「ここ2年ほどは開発に時間を費やしてしまったので、現在の商品をしっかりした形にし、県内のみならず、県外のかたにも知っていただくことが目標です」

2024年には長野県発の優れたブランドを表彰する『信州ブランドアワード』にも入選。「ますます信州産と胸を張って名乗れるようになったので、アピールに力を入れていきたいと思っています」

信州の自然の恵みと、ものづくりへの真摯な想いが込められた「もっくら」や木工小物たち。

大量生産のプラスチック製品が主流の現代だからこそ、木の香りやぬくもりをより求めてしまうのかもしれません。そんな安らぎを与えてくれる信州産の木工製品が人々の暮らしの中に広がっていくことが、森を守り、地域のものづくりの未来を支える力になっていく――。そんな未来を信じて今日できることから、少しずつ歩みを進めていきたいですね。

■フォレストライフ協同組合
もっくらサイトページ「もくらしオフィシャル」https://mokurashi.com

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