長野県千曲市で今でも手作りで豆腐を作る「滝沢豆腐店」。
スーパーなどで価格の安いお豆腐が手軽に購入できるようになり、昔はたくさんあった“町のお豆腐屋さん”が次々と姿を消してしまっている現在。今回は、昔と変わらず手作りでお豆腐をつくり続けている「滝沢豆腐店」のお豆腐をマストバイ!
地元のひとに愛される「ひろしくんの豆腐」
もうすぐ創業100年を迎える滝沢豆腐店。現在は3代目の滝沢博司さんがひとりで豆腐づくりを行っています。
商品ラインナップは、定番の「もめん豆腐」、「きぬごし豆腐」、「厚揚げ」をはじめ、「にがり豆腐」、「おぼろ豆腐」に加え、ざる豆腐を揚げた「丸揚げ」、ひとくちサイズにカットし揚げた厚揚げなど、ここならではの商品もそろっています。
「にがり豆腐」は長野県産の大豆のみを使用。「もめん豆腐」「きぬごし豆腐」は長野県産とカナダ産をブレンドして使用しています。「カナダ産を混ぜた方が、つるっとなめらかな食感になるんですよ」と滝沢さん。
地元のひとたちが滝沢豆腐店の豆腐を「ひろしくんちの豆腐」と呼ぶようになり、「もう、ひろしくんちの豆腐以外は食べられないね」と言っていたのがうれしく、商品名も「ひろしくんの〇〇豆腐」と名付けるように。「おいしいからまた買うね」と言っていただけるのが、日々の励みになっています」。
地域の小学生が豆腐づくりを見学
滝沢豆腐店では地域貢献の一環として、地元小学生の豆腐づくり見学を積極的に受け入れています。この日は小学2年生の生徒さん30人が豆腐づくりの工程を間近で見学させてもらっていました。「小学生の受け入れはけっこう前からやらせてもらっているので、最初にうちに来た子はもう成人しているくらいでしょうね」と滝沢さん。
すりつぶした大豆を煮てしぼった、できたての豆乳を試飲させてもらいました。「おいしい!」とおかわりする子や、はじめての飲む豆乳の味に「意味わかんない味!」と、子どもたちの素直な感想が印象的でした。
その後、できたてのお豆腐を試食させていただいた後は、滝沢さんへ質問タイムに。「お豆腐がいちばん売れる時期は?」(滝沢さんのこたえ=夏)、「個人的に好きな食べ方は?」(滝沢さんのこたえ=うーん。やっぱり、定番のからし醤油かな)など、インタビュアー顔負けの質問が飛び出しました。
千曲市の小学校の給食や地元保育園でも滝沢豆腐店の豆腐は使われているので「学校給食のお豆腐、ひろしくんのお豆腐だったの!?」と、生徒さんたちも驚いていました。
手作りの味を数量限定で販売
豆腐づくりは滝沢さんひとりで行っているため、1日に作れる量は多くても100個ほどだそう。そのため販路は限られており、スーパーは千曲市雨宮の「A・コープ あんず店」にて一部のみを販売。また、日によっては地域の方々が集まる児童館や公民館などで移動販売もしているそう。
「母が元気だったころは、お得意さんに自転車でお届けもしていたんですよ」。そうやって地道にファンを増やし、地域に愛される豆腐店となった滝沢豆腐店。滝沢さんが作業場にいる場合だったら、作業場での購入もOKです。
小さいころから給食で食べていたなじみの味。当たり前のように昔からあって、ほっとできる味。
「滝沢豆腐店の豆腐だったら間違いない。もうほかの豆腐は食べられなよ、って言ってもらえる豆腐を、これからもつくり続けていきたいです」と滝沢さん。
父母の時代に人気だった「がんも」。
「父と母が作ったレシピだったんですが、母の体調が悪くなって当時のレシピを聞けなくなってしまったんですよね」。ひとりだとなかなか再現するのが難しかったそうですが、妹さんとふたりで試作したところ、お母さんの味に近いものを作ることができたそう。
「最近販売したらすごく好評で。作っても作ってもすぐなくなっちゃうんですよ」。
新しい商品を開発するより、地域の人たちが慣れ親しんだ味を大切に守り伝えていきたい。そんな滝沢さん家族の思いがひと品ひと品に詰まっています。
大豆の香りがしっかり感じられる手づくりの味を提供する老舗豆腐店。いつの時代でもなくなってほしくない町の風景です。
■購入場所
滝沢豆腐店、A・コープ あんず店、など
■滝沢豆腐店
長野県千曲市屋代1756(https://maps.app.goo.gl/VricePisriHzGDhL7)